ダニエルズのランニング理論によると、Tペース(閾値/LT値ペース)での練習の目的は、「血中の乳酸を除去し十分処理できる濃度に抑える能力を高めるために行う」となっています。では、乳酸を除去すると何が良いのでしょうか?

ダニエルズ理論ではこの点については言及がありません。ググッてもなかなかこの疑問に明確に答えてくれる解説はみつからず、もやもやっとした状態が続いていましたが、東京大学の八田秀雄教授の解説の「乳酸の基本」を元に各種トレーニング理論と併せて思いを巡らせた結果、自分の中ではそれなりに腹落ちする解釈に辿り着いたので整理してみたいと思います(間違ってるかもしれませんが)。 ※2017.6 修正済み

乳酸とは何か?(ざっくりいうと)

インターネットで乳酸について調べると色々な解説がなされていますが(誤った解説も含まれているようですが)、大体以下のような内容に集約されると思います。

  • 乳酸は糖がエネルギー源として代謝された副産物である。
  • 乳酸は疲労物質ではない。
  • 乳酸は遅筋のエネルギー源となる。
  • LT値とは、運動強度が上がった結果、血中の乳酸値が急激に上昇するポイントの事(≒OBLA=4mmol/L)。
  • LT値を上げる事(乳酸除去能力の強化)は持久力の強化に繋がる。

乳酸に関する疑問

確かに、これだけでなんとなく分かった気にはなるのですが、掘り下げて考えていくと、個人的にはまだ腹落ちしない部分が残ります。

  • 乳酸が疲労物質ではないならば、乳酸が溜まると何故いけないのか?
  • 乳酸がエネルギー源であるならば、乳酸を除去する能力は必要なのか?
  • LT値が上がると何故良いのか?

疑問に対する自分なりの整理

そこで、上記疑問に対して、自分なりにある程度納得のいく説明を加えて、乳酸とは何かを以下にまとめます。

  • 乳酸は遅筋ではなく、速筋が使われるまで運動強度が上がり(無酸素運動レベルの心拍数)、”多くの”糖がエネルギー源として代謝された副産物である。乳酸自体は低い強度の運動でもできるのも。
  • 乳酸は疲労物質ではない。疲労の「原因」ではなく、疲労に繋がる高い強度の運度を行った「結果」である。
  • 乳酸は遅筋が使われる運動強度(有酸素運動レベルの心拍数)においてのエネルギー源となる。
  • LT値とは、運動強度が上がった結果、血中の乳酸値が急激に上昇するポイントの事(≒OBLT=4mmol/L)。つまり、遅筋ではなく、速筋が使われるまで運動強度が上がり(無酸素運動レベルの心拍数)、乳酸の生産スピードが、エネルギーとしての消費スピードを上回っているということ。
  • LT値を上げる事(乳酸除去能力の強化)は持久力の強化に繋がる。つまり、運動強度が上がっても発生した乳酸をエネルギーとして効率的に再利用できるなる(糖の利用をセーブできる)ことが、持久力が上がったということになる。

うん、これなら多少腹落ちするかも。これを踏まえて、先ほどの疑問に自分で回答しようとするとこんな感じでしょうか。

  • 乳酸が疲労物質ではないならば、乳酸が溜まると何故いけないのか?
    ⇒溜まること自体は何も悪くない。無酸素運動レベルの心拍数まで運動強度が上がっているということ、そして乳酸をエネルギーとして再利用しきれないことが悪い。
  • 乳酸がエネルギー源であるならば、乳酸を除去する能力は必要なのか?
    ⇒除去するというよりかは、運動強度が上がり乳酸が発生してもそれをエネルギー源として効率的に再利用できる能力が必要。
  • LT値が上がると何故良いのか?
    ⇒運動強度が上がり乳酸が発生してもそれをエネルギー源として効率的に再利用できる為、エネルギー源として体内の貯蔵量に限界のある糖質を節約することができることが良い。

結論

Tペースでの(閾値/LT値ペース)練習はマラソンのパフォーマンスを上げる為の、燃費の良い体作りに役に立つ。

もちろん、個人的な解釈の整理に過ぎないので間違っている部分もあるとは思いますが、今のところこの考え方がしっくりきています。

広告