トレーニングをするにあたっては、1kmあたりのペースを目安とする考え方と、心拍数を目安とした考え方がありますが、1kmあたりのペースは気温によって大きく変わるので、特に夏場のトレーニングにおいては個人的には心拍数を目安としています。

“最大心拍数 = 220-年齢”の公式は正しいのか?

心拍トレーニングを行うにあたって強度を図る基準となるのは最大心拍数です。では、この最大心拍数はどのようにして求めれば良いのでしょうか?最も一般的に使用されているのは以下の公式だと思われます。

最大心拍数 = 220-年齢

これは1970年にアメリカのFederal Public Health Serviceの医師Dr. William Haskellと彼のメンターである Dr. Samuel Foxにより考案されたものと言われています(※注)。

ただ、特にトレーニングを積んでいる30代後半以降のランナーの多くにとっては、この公式から算出される値はかなり低めの値になってしまうのではないでしょうか?実際のところ私も、実際の計測値は公式からの推測値よりも16も高い値となっています。

実は正しくなかった

どうしたものかといろいろ調べていいたらこんな論文を見つけてしまいました。

『THE SURPRISING HISTORY OF THE “HRmax=220 – age” EQUATION』(”最大心拍数 = 220 – 年齢”の方程式に関する驚くべき歴史)

この論文は20年に渡り上記公式について研究したもののようですが、結論を要約すると

この公式は独自の研究によるデータに基づいたものではなく、公開/未公開含めた11程の他者の研究データを組み合わせたものであり、最大心拍数の推測に大きな誤差がある。

“最大心拍数 = 220 – 年齢”の公式は運動生理学や関連分野において科学的に評価に値しない。

という身も蓋もないものとなっています。。。

それもそのはず、Haskellさんによると、

いや、そもそもこれって別に運動する人向けのトレーニングガイドとしてつくったわけじゃないし(笑)

とのこと。それもそのはず、もともとは心臓に疾患を持つ患者がどれぐらい激しい運動ができそうか見極めようとしていたわけですからね。(※注)

メーカーが拡大解釈

では、なぜマラソンをはじめとする運動の分野でこれだけ一般的な公式として定着してしまったんでしょうか?どうやらハートレートモニータのメーカーで、アメリカで年間750,000台も販売するPolar Electro Incが、「トレーニングガイド」としてこの公式を引用していたからみたいですね(※注)。なんとまあ、、、Authority Marketingってやつですかね。

この論文が公開されたのが2002年のことですが、それから14年も経った今でも一般論として定着してしまっているなんて、何か恐ろしいですね。ちょっとした好奇心から調べたことからこんな話に繋がるなんて思ってもいませんでしたが、トレーニング理論を適用するにあたっては、「なぜそうなのか?」「本当にそうなのか?」を考える事も大切だなあと思い知らされたのでした。

最大心拍数を求めるには?

これはもう実際に運動をして図ってみるしかないですね。ジャックダニエルズの本では、これ以上心拍数が上がらなくなるまでヒルクライムを何本か繰り返すと良い書いてありましたが、特に手法に決まりはなく、負荷の高い運動をしながら測れば良いようです。

私の場合はトレーニングがてら1kmのインターバル走を5本行い、5本目の最後の200mで限界までスピードを上げたダッシュをして計ったところ196まで行きました。

やはり実測値が一番信頼できるので、みなさんも一度限界まで追い込んで計測してみては如何でしょうか?

※注:[参考文献]
Wikipedia : Heart rate
The New York Times : ‘Maximum’ Heart Rate Theory Is Challenged

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